窓はしっかり閉めているはずなのに、なぜか蜂が家の中に入ってくる。そんな不可解な現象に悩まされているなら、一度、ご自宅の「匂い」を見直してみる必要があるかもしれません。蜂は人間には到底及ばない鋭い嗅覚を持っており、その行動の多くは匂いによって左右されています。私たちが快適と感じる香りが、意図せずして蜂を強力に誘引している可能性があるのです。蜂が最も強く反応するのは、言うまでもなく花の蜜を連想させる甘い香りです。キッチンカウンターに置かれた飲みかけのジュース、テーブルの上の果物、食べかけのお菓子などは、蜂にとって抗いがたい魅力を持つ「ごちそうのサイン」となります。窓を開けていれば、その匂いは風に乗って遠くまで運ばれ、蜂を家の中へと導いてしまうでしょう。同様に、近年の柔軟剤や芳香剤に含まれる強いフローラル系の香りも、蜂を勘違いさせる大きな原因です。蜂はそれを本物の花畑だと認識し、蜜源を探して洗濯物や室内に近づいてきます。また、スズメバチなどは、樹液や発酵した果物の匂いを好む傾向があります。ベランダでカブトムシを飼育している場合の昆虫ゼリーや、熟しすぎた果物を入れたゴミ箱などは、彼らにとって絶好の餌場となります。これらの匂いは、蜂に「ここには餌がある」と学習させ、繰り返し訪問させる原因にもなりかねません。蜂の侵入を防ぐためには、こうした誘引源となる匂いをいかに管理するかが重要です。食べ物や飲み物は放置せず、ゴミは密閉容器に入れる。香りの強い製品の使用を見直す。こうした小さな配慮が、蜂を寄せ付けないための効果的なバリアとなるのです。