自宅の敷地内で作り始めの小さな蜂の巣を発見した時、多くの人はパニックになったり、あるいは逆に「まだ小さいから大丈夫だろう」と安易に考えたりしがちです。しかし、どちらの反応も適切とは言えません。最も重要なのは、冷静に、そして正しく状況を判断し、安全を最優先に行動することです。まず、絶対にやってはいけないのが、棒でつついたり、石を投げたりして蜂を刺激することです。巣が小さく、蜂が一匹しか見えなくても、その一匹は巣を守る女王蜂です。危険を察知すれば、たとえ一匹でも果敢に攻撃してきます。また、市販の殺虫スプレーで駆除を試みる場合も、細心の注意が必要です。作り始めの巣は比較的小さいため、自力での駆除が不可能ではないケースもありますが、いくつかの条件が揃っている必要があります。例えば、巣が開放的で手の届きやすい場所にあること、巣の種類が比較的攻撃性の低いアシナガバチであること、そして何より作業する人が蜂アレルギーでないことが絶対条件です。万が一、自分がアレルギー体質だと知らずに刺されてしまった場合、命に関わる事態も起こり得ます。しかし、巣の場所が高所であったり、巣がスズメバチのものであったりする場合には、自力での駆除は極めて危険です。蜂の種類を正確に特定するのは専門家でなければ難しく、安易な判断が重大な事故につながる可能性も否定できません。したがって、最も賢明で安全な選択は、蜂の巣を見つけたらまずは静かにその場を離れ、専門の駆除業者に相談することです。プロは蜂の種類や巣の状況を的確に判断し、適切な防護服と機材を用いて安全に駆除を行ってくれます。初期段階での費用は、巣が大きくなってから依頼するよりも安く済む場合がほとんどです。一時的な安心のためにリスクを冒すのではなく、専門家の知識と技術を頼ることが、結果的に家族全員の安全を守る最善策となるのです。
小さな蜂の巣を見つけた時の正しい考え方