世界中から年間を通じて多くの観光客が訪れる国際観光都市京都において近年深刻な問題となっているのがトコジラミいわゆる南京虫の爆発的な増加であり、これはかつて日本国内ではほぼ絶滅したと思われていた害虫がインバウンドの波に乗って海外から持ち込まれ市内の宿泊施設を経由して一般家庭にまで拡散しているという現代特有の現象です。トコジラミは旅行者のスーツケースや衣類に付着して移動しホテルのベッドやソファの隙間に潜伏して夜な夜な宿泊客の血を吸い激しい痒みをもたらす吸血鬼のような存在ですが、その繁殖力と薬剤への抵抗性は凄まじく市販の殺虫剤では駆除しきれないスーパー南京虫と呼ばれる個体も確認されています。京都では民泊施設が増加したことにより住宅街の中に不特定多数の外国人が出入りする拠点が点在するようになり、そこから近隣の住民へと被害が広がるケースや、逆に海外旅行から帰国した京都府民が自宅に持ち込んでしまうケースなど感染ルートは多岐にわたります。もし自宅でトコジラミを発見した場合、被害にあった部屋にある家具や衣類をすべて高温処理するか廃棄しなければならないほどの壊滅的な状況に追い込まれることも珍しくなく、精神的なストレスは計り知れません。駆除には専門的な知識と特殊な薬剤さらには高熱スチーム処理などの物理的な攻撃が必要となるため、発見が遅れれば遅れるほど被害額も駆除費用も跳ね上がることになります。私たちは観光都市に住むリスクとしてこの目に見えにくい脅威を正しく認識し、旅行から帰ったら荷物を玄関でチェックする、中古家具を購入する際は細部まで確認するといった自衛策を講じる必要があり、京都の「おもてなし」の裏側で進行するこの小さなパンデミックに対して常に警戒心を持ち続けることが求められています。