鳩はある日突然やってきて、いきなり巣を作り始めるわけではありません。彼らは巣作りに先立ち、非常に慎重な「場所選び」を行います。この準備期間ともいえる初期段階の行動を見逃さず、適切に対応することが、鳩の巣被害を未然に防ぐための最も重要な鍵となります。鳩がベランダや軒先を気に入ると、まず単独またはつがいで頻繁に訪れるようになります。最初は手すりにとまって周囲の様子を伺うだけかもしれませんが、次第に滞在時間が長くなり、ベランダの中を歩き回ったり、室外機の裏などを覗き込んだりするようになります。これが、彼らが発する最初の危険信号、「偵察行動」です。この段階で、「この場所は居心地が悪い」「危険な場所だ」と鳩に強く認識させることができれば、彼らは巣作りを諦めて別の場所へ去って行きます。撃退法は、巣が作られる前だからこそシンプルです。鳩がとまっているのを見つけたら、すぐにベランダに出て追い払いましょう。窓を強く叩いて音を立てる、手を叩くなど、鳩を驚かせる行動が有効です。これを、鳩が来るたびに根気強く繰り返します。鳩は、人間が頻繁に出入りし、自分たちの存在を歓迎しない場所を嫌います。また、鳩がとまる手すりや、巣を作りそうな室外機の周りなどに、鳩が嫌う忌避剤をスプレーしておくのも効果的です。重要なのは、鳩に「ここは安心して休める場所ではない」という学習をさせることです。小枝が一本でも置かれていたら、それは巣作りの開始を意味します。その小枝はすぐに片付け、鳩の努力を無駄にさせましょう。この地道で根気強い初期対応こそが、後々の深刻なフン害や駆除の手間からあなたを救う、最も簡単で確実な防衛策なのです。