ある日、部屋の隅にふと目をやると、そこには見慣れない蜘蛛が巣を張っているではないか！そんな経験に、思わず声を上げそうになった人は少なくないでしょう。多くの人にとって、家の中に現れる蜘蛛は不快な侵入者なのです。しかし、一体なぜ彼らは、わざわざ人間の住居に入り込んでくるのでしょうか。その最も大きな理由は、私たちの家が、彼らにとって非常に魅力的な「狩り場」だからです。蜘蛛の主食は、私たち人間が「害虫」と呼んでいる小さな虫たち。コバエやダニ、衣類を食べる小さな蛾、そしてあのゴキブリさえも、一部の蜘蛛にとってはごちそうになります。つまり、家の中に蜘蛛が出るということは、裏を返せば、その家に蜘蛛の餌となる何らかの虫が存在している可能性が高い、というサインでもあるのです。彼らは本能的に餌の匂いを嗅ぎつけ、あるいは餌となる虫が集まりやすい環境を察知して、家の中へとやってくるのです。また、蜘蛛自身が家の中を好んで選んでいるわけではなく、単純に屋外との境界にある隙間から偶然迷い込んでしまうというケースも多々あります。窓のサッシのわずかな隙間、換気扇のダクト、エアコンの配管を通す穴など、人間が気づかないような小さな入口が、彼らにとっての通用口となっているのです。雨風をしのげる安定した環境は、彼らにとっても快適な場所。蜘蛛は、ただ生きるために、餌を求めて、安全な場所を求めて、私たちの生活空間に姿を現すのです。