夏から秋にかけて活動が活発になるスズメバチ。家の近くに巣ができた場合、その危険性から一刻も早く駆除したいと考えるのは当然です。しかし、専門知識や適切な装備を持たない素人が安易に手を出した結果、深刻な事態を招いてしまったケースは後を絶ちません。ここに、ある男性Aさんの失敗談を紹介します。Aさんは自宅のカーポートの屋根裏に、直径20センチほどのスズメバチの巣を発見しました。以前、アシナガバチの小さな巣を市販の殺虫スプレーで駆除した経験があったAさんは、「今回も自分でできるだろう」と安易に考えました。ホームセンターで強力そうな殺虫スプレーを購入し、日が暮れて蜂の活動が鈍る時間帯を狙って駆除を決行することにしました。念のため、長袖長ズボンに帽子、手袋といういでたちでしたが、それはスズメバチの長い針に対してはあまりにも無防備な装備でした。脚立を立て、巣に近づき、殺虫スプレーを噴射した瞬間、事態は急変しました。巣から大量のスズメバチが飛び出し、Aさんに襲いかかってきたのです。驚いたAさんは脚立から転落し、その間にも数匹の蜂に頭や腕を刺されてしまいました。激しい痛みと腫れに襲われ、Aさんは這うようにして家の中に逃げ込みましたが、呼吸が苦しくなり、意識が朦朧としてきました。家族がすぐに救急車を呼び、病院に搬送されました。診断はアナフィラキシーショック。幸い、迅速な処置のおかげで一命は取り留めましたが、数日間の入院を余儀なくされました。残された巣は、結局、専門の駆除業者に依頼して安全に撤去してもらいました。Aさんは、「スズメバチの危険性を甘く見ていた。駆除費用をケチろうとした結果、命を落としかけた。絶対に自分ではやるべきではなかった」と深く反省しています。この事例は、スズメバチ駆除における素人判断の危険性を明確に示しています。費用がかかっても、必ず専門業者に依頼することが、自身の安全を守るための最も賢明な選択なのです。
素人判断は危険スズメバチ駆除の失敗例