家庭内で見かける不快なコバエですが、その対策を効果的に行うためには、まず相手を知ることが重要です。コバエと一括りにされがちですが、実は複数の種類が存在し、それぞれ生態や弱点が異なります。ここでは、家庭でよく問題となる代表的なコバエの種類とその特徴、そして対策に繋がる弱点について解説します。まず、最もポピュラーなのが「ショウジョウバエ」です。体長2ミリ程度、赤みがかった目が特徴で、主に生ゴミや熟した果物、発酵した食品に発生します。アルコール発酵臭に強く引かれるため、飲み残しのアルコール類なども発生源となります。彼らのライフサイクルは非常に短く、好条件下では10日ほどで卵から成虫になります。弱点は、発生源が比較的特定しやすいこと。生ゴミや食品の管理を徹底することで、発生を大幅に抑制できます。次に、「ノミバエ」です。体長2ミリ程度、黒っぽく俊敏に動き回り、時に跳ねるような動きを見せます。腐敗した動植物質を好み、キッチンの排水口のヘドロ(スカム)やゴミ箱の底の汚れ、動物の糞尿、腐った植物などが発生源となります。ショウジョウバえと異なり、食品そのものよりも腐敗臭に引かれる傾向があります。弱点は、やはり発生源である汚泥や腐敗物を除去すること。排水口やゴミ箱の徹底的な清掃が最も効果的な対策です。お風呂場などでよく見かけるのは「チョウバエ」です。体長4~5ミリ程度とやや大きく、ハート型の翅を持ち、壁などにとまっていることが多いです。浴室や洗面所の排水口、浄化槽などの汚泥(スカム)から発生します。幼虫は汚泥の中で有機物を食べて成長します。弱点はノミバエと同様、発生源となる汚泥の除去です。排水管の清掃や、浴室全体の換気と乾燥も有効です。最後に、観葉植物の周りを飛んでいることが多いのが「キノコバエ」です。体長1~2ミリ程度で黒っぽく、蚊のような華奢な姿をしています。湿った土壌や、土中の腐植質、キノコ類などを食べて育ちます。観葉植物の土に有機肥料を使っていたり、常に土が湿っていたりすると発生しやすくなります。弱点は乾燥です。水やりを控えめにして土の表面を乾燥させることや、土の入れ替え、無機質の用土で表面を覆うことなどが有効な対策となります。このように、コバエの種類によって生態と弱点は異なります。相手を知り、その弱点を突いた対策を行うことが、コバエ駆除成功への近道なのです。