一軒家は部屋数が多く、空間も広いため、害虫が隠れる場所も多くなりがちです。家全体の害虫を一度に対策したい場合に有効なのが、くん煙・くん蒸タイプの殺虫剤、いわゆる「バルサン」です。しかし、その効果を最大限に引き出し、安全に使用するためには、正しい知識と手順が不可欠です。まず、バルサンには煙タイプ、水タイプ、霧タイプなど、いくつかの種類があります。煙タイプは強力な噴出力で隅々まで薬剤が行き渡りやすいですが、煙が多く出るため火災報知器へのカバーが必須です。水タイプは煙が出ず、匂いも比較的少ないですが、使用前に水を入れる手間があります。霧タイプは煙も熱も出さず、使用後の汚損も少ないため手軽ですが、噴射力は煙タイプに劣る場合があります。一軒家の場合、家の広さや構造、対象とする害虫の種類に合わせて適切なタイプと必要な個数を選びます。製品パッケージに記載されている適用畳数を確認し、各部屋、廊下、階段、場合によっては屋根裏や床下など、家全体に行き渡るように必要数を計算しましょう。使用前の準備は非常に重要です。まず、食品、食器、おもちゃ、衣類、布団、美術品などは薬剤がかからないように、ビニール袋に入れるか、大きな布や新聞紙で覆います。ペット(魚類や昆虫含む)や観葉植物は必ず室外へ避難させてください。パソコンなどの精密機器もカバーをかけましょう。そして最も重要なのが、火災報知器やガス警報器が反応しないように、付属のカバーまたはポリ袋などでしっかりと覆うことです。これを怠ると警報が鳴り、近隣に迷惑をかける可能性があります。使用中は、窓や換気口を閉め切り、部屋を密閉状態にします。指定された時間(通常2~3時間程度)、人やペットは絶対に室内に入らないようにしてください。使用後は、まず窓を開けて十分に換気を行います。製品に記載された時間(通常1時間以上)を目安に、新鮮な空気と入れ替えてください。換気後、床などに落ちている害虫の死骸を掃除機で吸い取ります。薬剤が直接かかった可能性のある食器や調理器具は、使用前に水洗いしましょう。床や家具なども、必要に応じて水拭きするとより安心です。正しい使い方を守れば、バルサンは一軒家の広範囲な害虫対策に有効な手段となります。
一軒家の害虫対策バルサンの正しい知識