これは、ある住宅街で実際に起こった事例です。Aさん宅のカーポートの隅に、春先からアシナガバチが巣を作り始めました。最初は500円玉程度の大きさで、蜂の数もまばらだったため、Aさんは「まだ小さいし、そのうちいなくなるだろう」と楽観視し、特に何もしませんでした。夏が近づくにつれ、蜂の巣は徐々に大きくなり、蜂の数も目に見えて増えていきました。それでもAさんは、「直接危害を加えなければ大丈夫だろう」と考え、特別な対策は講じませんでした。しかし、真夏のある日、事件は起こりました。Aさんの小学生の息子さんが、友達とカーポートの下でボール遊びをしていた際、ボールが偶然巣の近くに当たってしまったのです。その衝撃で巣から飛び出したアシナガバチの大群が、子供たちに襲いかかりました。息子さんは頭や腕など数カ所を刺され、一緒にいた友達も刺されてしまいました。幸い、二人ともアナフィラキシーショックなどの重篤な症状には至りませんでしたが、強い痛みと腫れに苦しみ、病院での治療が必要となりました。Aさんは、もっと早く蜂の巣を駆除しておけばよかったと深く後悔しました。この事例からわかるように、たとえ初期は小さな蜂の巣であっても、放置すれば巣は大きくなり、蜂の数も増え、それに伴って危険性も格段に高まります。特にアシナガバチは、スズメバチほどではないにせよ、巣に刺激が加わると激しく攻撃してくる性質があります。日常生活の範囲内に巣が作られた場合、意図せず巣を刺激してしまうリスクは常に存在します。「小さいから大丈夫」「何もしなければ刺されない」という油断が、思わぬ被害につながる可能性があるのです。蜂の巣を見つけたら、たとえ小さくても、その危険性を正しく認識し、早めに対処することが重要です。自力での駆除が難しいと感じたら、迷わず専門業者に相談し、適切な措置を講じることが、家族や周囲の人々の安全を守るために不可欠と言えるでしょう。
油断大敵小さいアシナガバチの巣が招いた被害実例