田中さん一家が暮らす一軒家では、毎年夏になると、どこからともなく現れるゴキブリに悩まされていた。特に昨年は、リビングのエアコンの吹き出し口からゴキブリが顔を出すという衝撃的な事件が発生し、妻の悲鳴が家中に響き渡った。以来、エアコンを使うのが怖くなってしまった妻のために、夫の健一さんは今年こそ徹底的なゴキブリ対策を講じることを決意した。「よし、今年はエアコン周りを完璧に防御するぞ!」健一さんはインターネットで情報を集め、ゴキブリがエアコンに侵入する主な経路が、室外にあるドレンホースと、壁の配管穴の隙間であることを突き止めた。週末、健一さんはホームセンターへ向かい、ドレンホース用の防虫キャップと、エアコン配管用のパテを購入した。まずは庭に出て、室外機の裏にあるドレンホースを確認する。案の定、ホースの先端は地面に向かって無防備に開いていた。「ここから入ってきたのか…」健一さんは持参したブラシでホースの先端付近を軽く掃除し、買ってきた防虫キャップをしっかりと取り付けた。次に、リビングのエアコンの配管が壁を貫通している部分をチェックする。よく見ると、古いパテが劣化してひび割れており、わずかな隙間ができているのを発見した。「これも塞がないと」健一さんは古いパテをできる範囲で取り除き、新しいパテを練って、隙間がなくなるように丁寧に埋めていった。作業を終えた健一さんは、満足げに汗を拭った。「これで物理的な侵入経路は塞いだはずだ」。さらに、念には念を入れて、エアコンのフィルターを念入りに掃除し、エアコン周りにゴキブリが嫌うとされるハーブ系の芳香剤も置いてみた。そして迎えた夏本番。田中家では恐る恐るエアコンのスイッチを入れたが、昨年のような悪夢は起こらなかった。その後も、家の中でゴキブリを見かける頻度は明らかに減り、妻はようやく安心してエアコンを使えるようになった。「パパ、ありがとう!」子供たちからも感謝され、健一さんは胸を張った。地道な対策が功を奏し、田中家のエアコンゴキブリ防衛作戦は、見事成功を収めたのだった。
田中家のエアコンゴキブリ防衛作戦顛末記