あれは忘れもしない、数年前の夏休みに行った高原キャンプでの出来事です。豊かな自然に囲まれ、川のせせらぎを聞きながらのキャンプは最高!のはずでした。夕方、バーベキューの準備をしている時、足首あたりにチクッとした鋭い痛みを感じました。「イタッ!」思わず声が出て、足元を見ると、ハエより少し大きいくらいのアブのような虫が飛び去っていくのが見えました。その時は、「ああ、アブか。まあ大丈夫だろう」と軽く考えていたのです。虫除けスプレーもしていたし、すぐに流水で洗い流しました。しかし、その判断が甘かったことを、後で思い知らされることになります。夜になるにつれて、刺された箇所がズキズキと痛み始めました。ただの痒みではありません。明らかに脈打つような痛みと、熱を持っている感覚。見てみると、足首全体がパンパンに腫れ上がり、赤黒く変色していました。歩くのも困難なほどの痛みです。持参していた痒み止めの軟膏を塗りましたが、全く効果はありません。痛みで眠ることもできず、不安な夜を過ごしました。翌朝、腫れはさらにひどくなり、まるで象の足のよう。痛みもピークに達していました。これはただ事ではないと判断し、キャンプを早々に切り上げ、一番近くの病院に駆け込みました。診察の結果は「アブによる虫刺されによる重度のアレルギー反応」。医師からは、体質によってはアナフィラキシーショックを起こす可能性もあったと聞き、ゾッとしました。処方されたステロイド系の塗り薬と抗ヒスタミン薬の内服で、ようやく痛みと腫れは数日かけて引いていきましたが、刺された跡はしばらくの間、色素沈着として残ってしまいました。この経験以来、私はキャンプやアウトドア活動での虫対策には、以前にも増して気を使うようになりました。虫除けスプレーはもちろん、服装にも気を配り、刺された時のためのポイズンリムーバーや抗ヒスタミン薬も必ず携帯しています。あの激痛は二度と経験したくありません。たかが虫刺されと侮ってはいけない、自然の中では常に危険と隣り合わせなのだと、身をもって学んだ出来事でした。
夏のキャンプ悪夢の激痛虫刺され体験