山田さん(仮名・40代男性)が、週末に家族で牧場へ遊びに行った際、アブに咬まれるというアクシデントに見舞われました。昼食後、牧場の草地に座って休憩していたところ、腕に鋭い痛みを感じました。見ると、体長1.5センチほどの大きなアブが腕にとまっており、慌てて振り払いました。咬まれた箇所からは、わずかに出血が見られました。「アブに咬まれたくらい大丈夫だろう」と、山田さんは当初、あまり気にしていませんでした。しかし、数時間が経過するにつれて、咬まれた腕がズキズキと痛み始め、みるみるうちに赤く腫れ上がってきました。熱感も伴い、まるで火傷をしたかのような感覚だったと言います。その日の夜には、腕全体がパンパンに腫れ、肘を曲げるのも辛い状態になりました。市販の虫刺され薬を塗りましたが、気休め程度にしかならず、痛みと痒みでなかなか寝付けませんでした。翌朝、症状はさらに悪化。腫れは肩の近くまで広がり、リンパ節も腫れているような感覚がありました。さすがにこれは普通ではないと感じ、休日診療を行っている病院を受診しました。医師の診断は、アブ咬傷によるアレルギー性皮膚炎。アブの唾液に含まれる成分に対するアレルギー反応が強く出たのだろうとのことでした。治療として、強めのステロイド外用薬と、抗ヒスタミン薬、痛み止めの内服薬が処方されました。医師からは、「アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、傷口から細菌が入りやすく、化膿することもある。掻きむしらないように注意し、患部は清潔に保つように」との指示を受けました。処方された薬を使用し始めてから、2、3日で激しい痛みと熱感は和らぎましたが、腫れが完全に引くのには1週間以上かかりました。また、咬まれた跡はしばらく赤黒く残り、色素沈着となって数ヶ月間消えなかったそうです。山田さんはこの経験から、アブを甘く見てはいけないと痛感しました。特に、自然が多い場所へ行く際は、長袖長ズボンを着用し、虫除け対策をしっかり行うこと、そして万が一咬まれた場合は、症状が軽くても油断せず、早めに適切な処置をすることが重要だと語っています。