数ある虫刺されの中でも、特に注意が必要で、時には命に関わる危険性も伴うのが、ハチ(特にスズメバチやアシナガバチ)による刺傷と、ムカデによる咬傷です。これらの虫による被害は、単なる痛みや腫れにとどまらない可能性があることを知っておく必要があります。まず、ハチ刺されです。スズメバチやアシナガバチに刺されると、直後に激しい痛みを感じ、刺された場所が急速に赤く腫れ上がります。しかし、最も恐ろしいのは「アナフィラキシーショック」です。これは、ハチの毒に対する急激なアレルギー反応で、刺されてから数分~数十分以内に、蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下、意識消失などの全身症状が現れ、迅速な処置が行われないと命に関わることがあります。過去にハチに刺されたことがある人は、次に刺された際にアナフィラキシーショックを起こすリスクが高まるため、特に注意が必要です。もしハチに刺されたら、まず安全な場所に避難し、針が残っている場合は慎重に取り除きます(無理に指でつまむと毒嚢を押し潰す可能性があるので注意)。その後、患部を流水で洗い流し、冷やします。そして、少しでも体調に異変を感じたら(息苦しさ、めまい、吐き気など)、ためらわずに救急車を要請してください。アナフィラキシーの既往がある人は、医師から処方されたアドレナリン自己注射薬(エピペンなど)を常に携帯し、使用方法を正しく理解しておくことが重要です。次に、ムカデ咬傷です。ムカデは顎を使って咬みつき、毒を注入します。咬まれると、ハチに刺された時と同様に激しい痛みを感じ、患部が赤く腫れ上がります。痛みは数時間から数日続くこともあります。ムカデの毒にはヒスタミンやセロトニンなどが含まれており、人によってはアナフィラキシーショックを起こす可能性もゼロではありません。咬まれた場合は、まず43~46度程度の少し熱めのお湯で患部を洗い流すか、温めるのが良いとされています。ムカデの毒は熱に弱い性質があるため、これにより毒の活性を弱め、痛みを和らげる効果が期待できます。(ただし、熱すぎるお湯は火傷の原因になるので注意が必要です。)その後、抗ヒスタミン成分やステロイド成分を含む軟膏を塗布します。痛みが非常に強い場合や、腫れがひどい場合、全身症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
命の危険も蜂とムカデ痛い虫刺されの注意点