年に一度、我が家では害虫対策としてバルサンを焚くのが恒例行事となっています。しかし、この準備が毎回なかなかの大仕事なのです。特に、我が家には好奇心旺盛な猫と、いくつかの観葉植物がいるため、その避難と保護には細心の注意を払っています。バルサンを使うと決めた日から、家中がなんとなく落ち着かなくなります。まず、猫の避難計画です。使用する部屋はもちろん、薬剤が漏れ出る可能性のある隣接する部屋からも完全に隔離しなければなりません。我が家では、バルサンを使用しない一部屋を「避難所」と定め、そこに猫用トイレ、水、餌、お気に入りのおもちゃなどを運び込みます。そして、バルサン使用予定時間の数時間前から猫をその部屋に入れ、ドアを閉め切ります。ドアの隙間からも薬剤が入り込まないよう、目張りテープを貼る念入りようです。猫にとっては迷惑な話でしょうが、安全のためには仕方がありません。次に大変なのが、植物たちの避難です。リビングにある背の高い観葉植物から、窓辺の小さな多肉植物まで、大小さまざま。これらを全て、猫の避難所か、あるいはベランダなど、薬剤の影響がない場所へ移動させます。これが結構な重労働で、腰にきます。そして、いよいよ部屋の中の養生作業です。食器棚は扉を閉めて、さらに念のため隙間をテープで目張り。テレビやパソコン、ゲーム機などの精密機器は、大きなビニール袋をすっぽりとかぶせ、テープで固定します。食品ストックも同様に、棚ごとビニールで覆います。ソファやベッドなどの布製品も、できればカバーをかけたいところですが、我が家では諦めて、使用後の掃除を徹底することにしています。全ての準備が整い、避難を確認し、いよいよバルサンに着火(または水を入れる)する瞬間は、毎回少し緊張します。まるで時限爆弾のスイッチを入れるような気分です。そして、規定時間、家を離れて時間を潰し、帰宅後の換気と掃除が待っている…この一連の流れを思うと、少し憂鬱にもなりますが、これで害虫の心配が減ると思えば、やるしかないのです。バルサンを使うということは、単に薬剤を焚くだけでなく、家族(ペットや植物も含む)の安全を守るための周到な準備と覚悟が必要なのだと、毎年実感させられます。
バルサン実施前の我が家のドタバタ準備劇