暖かい季節になり、窓を開けて心地よい風を取り込む機会が増えると、同時に悩まされるのが招かれざる客、蜂の侵入と言えるでしょう。室内に響くブーンという羽音に、思わず体が凍りついた経験を持つ人も少なくないかもしれません。しかし、一体なぜ蜂は、餌があるわけでもない人間の家の中にわざわざ入ってくるのでしょうか。その原因は、決して一つではありません。最も多いのは、実は「偶然」の侵入なのです。蜂は特定の目的を持って家を目指しているわけではなく、飛んでいる途中でたまたま開いていた窓やドアから偶発的に迷い込んでしまうケースが大半を占めます。彼らにとっては、外の世界へ戻る出口を見失った、パニック状態なのです。しかし、中には蜂を積極的に引き寄せてしまう原因が私たちの生活空間に潜んでいることもあります。その代表格が「匂い」です。蜂は非常に優れた嗅覚を持っており、花の蜜や樹液の甘い香りに強く惹かれます。そのため、キッチンに置いてあるジュースや果物、お菓子などの匂いが、彼らを室内へと誘い込むトリガーになり得ます。また、洗濯物に使う柔軟剤のフローラルな香りや、香水、整髪料なども、蜂にとっては蜜源と勘違いさせてしまう魅力的な香りとなり得ます。蜂の侵入は、単なる偶然だけでなく、私たちの生活が生み出す様々な要因が複雑に絡み合って起きているのです。その原因を知ることが、効果的な予防策を講じるための第一歩となるでしょう。