高原や渓流沿いなど、自然豊かな場所で活動する際に注意したいのが、ブユ(地域によってはブヨとも呼ばれます)による虫刺されです。体長は2ミリから4ミリ程度と小さいのですが、刺された後の症状は強烈で、多くの人を悩ませます。ブユは蚊のように針で刺すのではなく、皮膚を小さく噛み切り、そこから流れ出る血液を吸います。その際、唾液腺から毒素を注入するため、強いアレルギー反応を引き起こしやすいのです。刺された直後は、痛みや痒みを感じないこともありますが、数時間後から翌日にかけて、激しい痒みと痛み、そして赤く硬い腫れ(しこり)が現れるのが特徴です。出血を伴うことも少なくありません。この腫れや痒み、痛みは非常にしつこく、完治までに1週間から数週間かかることもあります。掻きむしってしまうと、皮膚が傷つき、そこから細菌が感染して化膿(とびひなど)することもあるため、注意が必要です。もしブユに刺された、あるいは刺された疑いがある場合は、できるだけ早く適切な処置を行うことが重要です。まず、刺された箇所を清潔な水でよく洗い流します。可能であれば、ポイズンリムーバーなどを使って毒素を吸い出すのも効果的ですが、時間が経ちすぎると効果は薄れます。次に、患部を冷やします。保冷剤や冷たいタオルなどで冷やすことで、炎症と痒み、痛みを和らげることができます。そして、痒みや炎症を抑えるための薬を塗ります。ブユ刺されの症状は強いため、市販薬であれば、ステロイド成分が配合された強めのものを選ぶのが良いでしょう。抗ヒスタミン成分配合の塗り薬も痒みには有効です。痒みがひどい場合は、掻きむしり防止のために絆創膏やガーゼで保護するのも一つの方法です。ただし、これらのセルフケアを行っても症状が改善しない場合や、腫れや痛みが異常に強い場合、発熱や倦怠感など全身症状が現れた場合は、速やかに皮膚科などの医療機関を受診してください。医師の診察を受け、適切な治療(より強力なステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服など)を受けることが、早期回復と合併症予防の鍵となります。
ブヨに刺されたら激痛としこりへの対処法